◆入門編(担当:田中潤講師)
学習院大学非常勤講師/現在力を入れている研究テーマ:日本文化史・有職故実(服飾・染織など) |
〇受講対象者・レベル:
活字による文書から、電子情報による文書の時代へと急速に変化が進む現代において、手書きの文字の持つ大切さが一層際立つように感じられます。一つの文字を、どのように崩して書き、文面全体の中ではどのように文字同士の調和を取るか。活字の世界では縁遠くなった感覚を、崩し字で書かれた古文書は私たちに思い出させてくれます。
この講座では、初めて崩し字(古文書)に触れられる方、すでに読める方であっても、基礎から確認をなさりたい方なども歓迎し、全くの初心者の方に合わせた進度で講座を進行します。その際、古文書を読んでいく上での三つのポイント、「①文字から読む②文脈から読む③周辺の知識から読む」に焦点を当てながら、古文書に書かれた字の『くずし字辞典』での調べ方、基本的な文字の読み方など、古文書を読んでいくために最低限必要となる基礎的な知識について、テキストに沿いながらご紹介していきます。そして、ご自身が読んでみたいと思う古文書や、博物館・美術館に展示された古文書などに、より親しみをもって見ていただく上でポイントとなる、書かれた文字だけにとどまらない古文書の背景にある様々な情報についても紹介していきます。
〇講座の進め方:
崩し字が読めても、内容が正しく理解できるように読めないと、古文書が読めるようになったとはいえません。この講座ではまず活字に直したテキストで、古文書の読みを確認し、その上でテキストとなる崩し字の解説を行います。テキストは基本的に初回に1期分(計3回分)を一括して配布し、受講者の方々が受講以前に目を通して頂いた上でゆっくりと進めていきたいと思います。
〇使用する史料:
江戸時代の人々が初等教育用の教科書として使った、往来物と呼ばれる往復書簡の形式をとったものを中心とし、今年度は関東地方の地誌に関する往来物を取り上げ、合せて適宜関連する史料や仮名で書かれた和歌なども取り上げます。
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◆初級編(担当:安藤奈々講師)
学習院大学大学院史学専攻/現在力を入れているテーマ:近世対外関係、琉球の社会史。身分制度や、琉球使節の構成 |
〇受講対象者・レベル:
本講座では基本的な崩し字が読める方を対象にしていますが、入門と中級の架け橋となるよう心掛けており、文字の解説にも力を入れています。
〇講座の進め方:
初回に1期分のテキスト(3回分)を配布し、まず各回で講義前半は、扱う史料の内容・背景知識を解説します。後半に、史料読解に入っていきます。よく出てくる文字の崩れ方、似ている文字や、また難読文字の解説などを重点的に行います。レジュメは読み下し、現代語訳、釈文もつけて復習できるように心掛けて作っています。2回目以降は予習をした上で受講をしていただきたいと思います。
〇使用する史料:
基本的には江戸に関する史料を読みますが、毎回一つテーマを決め、そのテーマに沿っていろいろな地域とを比較するなど幅広く史料を読んでいこうと思っています。
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◆中級編(担当:吉成香澄講師)
徳川林政史研究所非常勤研究員/現在力を入れて取り組んでいる課題:将軍姫君の婚姻と幕藩関係・江戸城大奥 |
○受講対象者・レベル:
本講座では、基本的な崩し字が読める方を対象にしています。
○講座の進め方:
本講座では、基本的な崩し字が読める方を対象にしています。 ○講座の進め方:初回に全回分のテキストを配布し、各回で参考となるレジュメを配布します。本講座では、古文書を解読するにあたり押さえておきたい字を解説の対象とします。テキストは変体仮名などが入ることがあります。史料に記された内容の解釈や解説、関連する研究成果の紹介などを重点的に取り組みます。講座を通じて江戸幕府や武家社会についての知識を広め、史料への理解を深めていくことを目指します。
○使用史料:
「多聞櫓文書」(国立公文書館所蔵)などの幕府史料、大名家の史料など。
○史料の内容:
幕府の諸役所で作成された将軍・大奥・幕府役職の記録類。武家関係など。
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